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    • 南相馬市 2011.4.3
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    • 新地町 2011.4.3
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    • 船の墓場 2011.5.4
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【福島県 新地町 2011.03.27】
  常磐線のレールは元あったところから数百メートル以上流されていた。鋼鉄が曲がりくねりながら切れていた。列車はくしゃくしゃになりながら天にブリッジするかのように宙に浮いている。何をどうやったらこんな芸当ができるのだろう。津波の破壊力の恐ろしさを思い知った。しかし、私は津波自体、肉眼で見ていない。本当の恐怖は地元住民だけにしか計り知れない。
  そこに駅があったのはプラットホームを渡る階段が残っていたからで、それがなければまったく判別がつかなかった。それでもそこが駅であったのか確信が持てなかった。地元の年配の方に聞いたらやはり駅だという。そのご婦人はカメラ片手に流された建屋の二階部分を撮影していた。一階部分は崩壊し、二階部分が駅の近くまで流されたのだという。
  ピアノは木の葉のように浮いたのだろうか。泥を被ったピアノは悲しげに見えた。津波の瞬間、どんな狂想曲が奏でられたのだろうか。もしかしたらたぶん、ピアノの旋律で表現できない諧調だったのかもしれない。
  日常にあったもの、すべてが流されていた。それも滅茶苦茶にされて。人間がコツコツと集め組み立てた家屋や家具がすべて分解され砕かれたようだ。